きままにっき

転居で離れた友人との近況報告&情報交換を兼ねた気ままな日記です

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『夜の果てまで』

盛田隆二『夜の果てまで』(角川文庫)


大学生と人妻の不倫かけおち物語。
大学生はそれなりに優秀で、真っ当な人生をつかみかけていたところに、事情を抱えた魅力的な人妻と出会い深い関係におちていく。



ある夫婦の失踪届けという「結末」から物語が始まるので、その結末までどう辿り着くのかが気になって読み進んだ。

男女が惹かれ合う過程、かけおちしてからの波乱万丈な日々、人生の狂い始め、、、と、どんどん堕落していくストーリーは純粋に面白かった。
大学生と人妻の恋愛という設定からしてどこか非現実的だけれど、現実にはこんな男女のイザコザはきっと様々な形で世の中には溢れているのだろう。

本人たちには純愛のつもりでも、客観的に見たらこれが愛だなんてよく言えるなと嘲笑してしまいたくなる。
単なる不貞ではないか。


人が人生を失敗する最大のきっかけは、
①男女間の色欲
②金銭の間違い
③酒(クスリ)への依存
と聞くが、これら3つを体現したようなストーリーだった。


ちなみにタイトルの『夜の果てまで』の「夜」は「世」とかけているのではないかと憶測してしまう。
かけおちした二人はもう二度と帰ってこれないほど、この世の遠い果てまで消えてしまったような気がする。
クライマックスにはそんな暗い雰囲気が充満している。
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  1. 2014/08/15(金) 16:38:05|

『坊っちゃん』

夏目漱石『坊っちゃん』(新潮文庫)


新しい本を探すのが面倒なときなど、たまに定番の近代小説を繙きたくなる。
この『坊っちゃん』もそんな一冊として久々に開いた。



短気で無鉄砲な「坊っちゃん」が地方の中学校に赴任し、そこで出会うキャラの濃い同僚たちに揉まれる物語。
子供たちとのトラブルや大人同士の痴話喧嘩、色恋沙汰など短期間のうちに様々なことが起こり、気丈にふるまう坊っちゃんをついつい応援したくなる。
時代が違うにしても、現代の学校現場を知っている人からしたら突っ込みどころも満載だ。


書かれたのが文学発展途上の近代だからか一般的に高く評価されているようだが、もし仮にこの小説が現代作家の作品だとしたら、設定やストーリー展開、文章表現の技術などで批判されるのではないかと読むたびに思う。
個人的には、それほど洗練されてるとは思えないような、そこまで面白い!とは言い難い小説だ。
それでもなんとなく、ページをめくるたびに読み進めてしまう。


坊っちゃんの過激ながらも正直でまっすぐな性格や、登場人物の多様性には興味をそそられる。
坊っちゃんは心の中で同僚たちに皮肉をこめたあだ名を付けて呼んでいて、敵対心と親愛感がはっきりしているのが何とも人間臭くて憎めない。


使用人のばあさん清への思いがどういう意味の愛情なのか‥や、それぞれの登場人物の行き着く先がどうなるか‥など、よく分からないまま終わる言葉足らずな展開は、作者がねらったとは思えず、現代小説にはない味わい深さなのかもしれない。
  1. 2014/08/15(金) 15:51:08|

『青空ヒッチハイカー』

橋本紡『青空ヒッチハイカー』(新潮文庫)


読み終えて出た言葉は、「青春だなぁ」の一言に尽きる。

超優秀な兄をもつ18歳の少年がある目的のために、大学受験を控えた夏休みに、兄の残したキャデラックで無免許のまま長距離運転の旅に出るという物語。
助手席にはヒッチハイクで拾ったかわいい女の子を乗せて旅の終始を共にし、また他にも道中で色々なヒッチハイカーを拾っては別れる一期一会の出会いがいくつもある。



はっきり言って大きな事件が起こるわけでもなく、この物語から何を得られるわけでもなく、ただ旅の数日間の出来事を流し読みするような感じだった。
主題もいまひとつ何なのかよく分からない。
恋愛なのか、兄弟愛なのか、自分の生き方を決めることなのか、人と人との出会いなのか、、、。

それでも兄ちゃんの超人ぶりが面白かったり、バンジージャンプで吃音がなおるなど奇跡が起きたり、そもそも無免許で長距離運転なんてあり得なかったり、なんだそれというような結末で終わったりと、ふざけた展開も全てが青春だねの一言で流して済ませられるのでライトに楽しめた。


私の夫が昔(出会う前)ヒッチハイクで旅をしていたような鉄砲玉だったことから、キャデラックに乗せてもらった話も聞いていたので、なんだかヒッチハイカーの能天気さが目に浮かぶようで彼の青春を垣間見たような気分にもなった。
  1. 2014/08/14(木) 22:17:39|

『ビタミンF』

重松清『ビタミンF』(新潮文庫)


重松清の小説は何冊か読んだけれど、いつも家族ものを書くのが上手いなぁと思う。
その中でも『ビタミンF』は、今のところ一番身近に感じられる等身大の家族物語だったように思う。

30代後半の中年に差し掛かる男性が主人公の短編集。
どの物語でも共通して、主人公の男性はサラリーマンで妻と思春期あたりの子供がいる。



日常的にありそうな家庭内外での事件や問題と、そこで揺れる家族が描かれている。

はじめは年齢も性別も違う私は感情移入できないのではないかと思ったけれど。
数年後に自分の家庭や子供たちも同じように何か問題を抱え迷うのだろうかとか、そこに暮らす夫はこう考えるのだろうかとか、あれこれ想像しながら読んだら他人事とは思えなかった。

特に夫婦間だけでなく、子供自身の悩みが絡む家族全体の話は読んでいて胸が痛む。


重松清の小説には、問題が解決したあとのハッピーエンドは書かれていない。
けれどいつも救いというか、きっと家族が良い方向に向かうよねという希望を残してくれているのがいい。

この『ビタミンF』のFにはfamilyとかfatherなどの意味があると著者が述べていて取り沙汰されているけれど、私はどちらかというとビタミンという単語のほうに目がいく。
じわじわと心に効いていく栄養分のようで、この短編に処方されるのにピッタリのとても秀逸なネーミングだと思う。
  1. 2014/08/14(木) 21:53:18|

『説得』

オースティン『説得』(ちくま文庫)

中世イギリスの貴族の静かな恋愛物語。
過去に婚約破棄した元恋人同志が8年の時を経て再会し、恋の駆け引きをしていく。
ヒロインは地味だけれど、滲み出る魅力にあふれた控えめな女性という印象で、愛に一喜一憂する姿にどこか懐かしい切なさと共感を覚えた。



年代も国も社会的地位も全く異なるうえ、展開としてはよくありそうな単調な恋愛小説なのに、世界中で愛されている物語らしいし実際に読み飽きない。
それはヒロインの魅力や文章表現の秀逸さのお陰かもしれない。

結末は読めていたが恋の駆け引き誰がどのようにアプローチしていくのかが単純に気になり読み進めた。
クライマックスの告白の手紙は読んでいてドキドキときめいてしまった。



そもそも私が読んだのは、大好きな映画『イルマーレ』にこの小説が登場していたのがきっかけだった。
イルマーレの中で男女と時空をつなぐ本という設定だった。
"時を経ても変わらない愛"をテーマにしているから、『イルマーレ』に使われたのだろうか。


  1. 2014/08/12(火) 22:54:38|
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